eスポーツの市場は近年目覚ましい成長を遂げている。日本も例外ではなく様々な企業がeスポーツビジネスへの参入を表明し、実際に大会が開催されるなど環境整備が進んでいる。そのような日本のeスポーツに関わる様々な事情について紹介していく。

日本におけるeスポーツ文化の発展

 まずeスポーツの定義であるが、eスポーツはエレクトロニック・スポーツの略語である。本稿ではビデオゲームを競技として分類した際の総称とする。

 元々、日本は世界的にみてもビデオゲーム文化が発展していた。任天堂・SEGA・SONYといった日本企業はゲームメーカーとして世界的に有名である。ただ、eスポーツという観点において現在日本は後進国である。
それはなぜかというと、eスポーツの初期において競技タイトルとなったゲームの多くはパソコンをプラットフォームとするゲームだったのに対し、日本ではゲームセンターでゲームをする、家庭ではゲーム専用の据え置き機や携帯ゲーム機でゲームをするスタイルが主流だったからだ。しかし、eスポーツの発展とともに競技タイトルは増加し、パソコンゲーム以外でも競技活動が盛んになる。

 そして日本にeスポーツを認知させるプレイヤーが現れる。それが「梅原大吾」である。プレイヤーネームを「ウメハラ」と名乗るこの青年は、ストリートファイターシリーズを主戦場とし、2010年にスポンサーと契約しプロeスポーツプレイヤーになると、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネス登録されるほど活躍した。これをマスコミがこぞって取り上げたことから、日本でもeスポーツが広く浸透したのだ。
現在では一般社団法人eスポーツ連合(略称Jesu)が誕生し、関係省庁と協力してイベントを開催するなど、日本におけるeスポーツの地位をさらに高めるべく活動を行っている。
中でもJesuが力を入れているのが国体におけるeスポーツの実施である。
実際に2019年の茨城国体では国体として初めてeスポーツのプログラムが開催され、好評を博した。このプログラムは2020年の鹿児島国体にも引き継がれる予定で、若い世代がeスポーツの世界にふれる機会を生んでいる。

 ただし、この流れに逆行する出来事も起きている。2020年4月に香川県で施行されたゲームのプレイ時間を制限する内容を含んだ条例(通称ゲーム条例)がこれに当たる。1日1時間にプレイ時間を制限するこの条例はeスポーツプレイヤーの誕生を著しく難しくさせる。たとえば一般的なスポーツにおいて、1日の練習時間が1時間という競技はまれである。後にプロとなる多くの中高生は部活やクラブチームの活動を通じて1日数時間は練習を行っているだろう。これをeスポーツに限って制限するというのはあまりにも狭い見識といえるだろう。

日本において活動が盛んなeスポーツのタイトル

 日本におけるeスポーツを管轄しているJesuが公式eスポーツタイトルと認定しているものは以下の14タイトルである。

・グランブルーファンタジー ヴァーサス
・eFootball ウイニングイレブン 2020
・GUILTY GEAR Xrd REV 2
・コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア
・ストリートファイターV チャンピオンエディション
・鉄拳7
・DEAD OR ALIVE 6
・TEPPEN
・パズル&ドラゴンズ
・BLAZBLUE CENTRALFICTION
・BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE
・ぷよぷよシリーズ
・モンスターストライク
・レインボーシックス シージ

 これらのタイトルに共通しているのは提供している企業がすべて日本企業であるという点だ。日本の法人であるJesuが日本産のゲームをeスポーツとして発展させたいと考えるのは当然であるが、実際にeスポーツとして大会が開催されるゲームには多くの海外産ゲームが含まれており、それらを公認タイトルとしないことに対し、eスポーツプレイヤーから不満の声が上がっている。

 また国内タイトルではeスポーツとして非常に人気があり、日本人eスポーツプレイヤーとして2018年の獲得賞金額トップであった、ふぇぐ氏がプレイしているシャドウバースが入っていないのは実情を反映していない。シャドウバースのプレイヤーは同ランキングで5位と10位にもランクインしており、日本で開催されるeスポーツイベントとしてはシャドウバースの大会がトップクラスの規模であるのはあきらかだ。

さいごに

 現在、世界的なCOVID19の流行により、外出の自粛が求められており、一般的なスポーツイベントのほとんどが開催できない状況である。しかしeスポーツのイベントはオンラインの開催が可能であるという利点を活かして開催し人気を博している。先日にはプロのテニスプレイヤーがマリオテニスで対戦する大会も開催されるなど、スポーツの分野からeスポーツへの参入も活発になった。ライフスタイルを変えるウイルスの出現によりeスポーツはこれからますます発展していくと予想できる

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