ゲームが社会に浸透するのに伴い、他のメディアにもゲームが参入していくようになった。その一つがゲームを原作としたアニメの制作である。原作に近い内容で制作されたもの・メディアミックスとして展開されたもの・ゲームをベースにして別の世界線として制作されてもの等、様々な種類のゲーム原作のアニメが存在する。今回は主要なゲーム原作アニメを分類別に紹介する。

原作準拠型

原作に近い形でアニメ化されるゲームの多くは、サウンドノベル・アドベンチャーである。これには理由があって、例えばドラゴンクエストのようなRPGを原作準拠でアニメ化すると、かなり長編の作品となってしまう。またマリオのようなアクションゲームを原作準拠でアニメにするとほぼ戦闘シーンとなる。一方、サウンドノベルやアドベンチャーは会話パートがメインとなるため、原作準拠したままアニメ化がしやすいのである。
代表的な作品として『school days』が挙げられる。元は2005年4月28日に発売されたオーバーフロー原作のアダルトアドベンチャーゲームである。アニメ化されたのは2007年7月で、そのストーリーはゲームをプレイ上で出現するシナリオの一部と近いものだ。
そして人気作品であることを活かして長期放映を可能とし、アニメが大成功をおさめた原作準拠のアニメが『ポケットモンスター』である。1996年に発売された『ポケットモンスター赤・緑』は大ヒットを記録し、その1年後である1997年にアニメがスタートした。現在まで7シリーズが放映され、新しいポケモンシリーズが発売されると、アニメも新シリーズに突入するというリンクが行われている。

メディアミックス型

こちらはゲーム開発当初からアニメや他のメディアへの展開が決定しているタイプである。
代表作として2009年にエンターブレインからPS2用恋愛シミュレーションゲームとして発売された『アマガミ』が挙げられる。『アマガミ』は発売当初からメディアミックス展開をしており、インターネットラジオ・ドラマCD・漫画化に続き2010年と2012年の2度に渡って、アニメ化がなされた。
そしてゲームを主軸とするメディアミックス作品の中で異彩を放っているのが『.hack』である。『.hack』はゲームでありながら架空のMMORPGである「The World」に関わる物語を描いている。.hackプロジェクトの初期において中心となったのが、PS2用ゲーム『.hack』である。2002年から6月から2003年9月までの間に連続する
ゲームとして4回に分割して発売された。そしてゲームと平行してテレビアニメ『.hack//SIGN』が放映された。またストーリーを補完するためにOVAや小説・マンガも公表された。

ゲームをベースに違う世界線が描かれたアニメ

ゲームをベースとして全く違う世界線が描かれたアニメとして、『週刊少年ジャンプ』で連載された漫画を原作とするアニメ『ダイの大冒険』が挙げられる。『ダイの大冒険』自体は漫画原作のアニメであるが、漫画『DRAGON QUEST ダイの大冒険』の世界観は、作品名にDRAGON QUESTと冠するように、ほぼドラゴンクエストシリーズと同一である。スライムやキメラなどドラゴンクエストシリーズでおなじみのモンスター達が作品内に登場するほか、ドラゴンキラー・ひのきのぼうといった装備品、ベギラマやホイミといった呪文にいたるまでドラゴンクエストシリーズと同一である。さらに漫画に登場したメドローアやベタンといった魔法がドラクエシリーズに逆輸入されている。なぜこのような作品が生まれたかというと、『週刊少年ジャンプ』自体が『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ』『ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち』を販売促進するために企画したのだ。ドラゴンクエストシリーズの製作者である堀井雄二を監修に迎えて連載された、まさに公式スピンオフ作品といえる。『ダイの大冒険』の人気は連載終了後も続き、連載終了から20年後に『星のドラゴンクエスト』とのコラボが実施されたり、2020年秋には1991年秋に続き、2度目のアニメ化が決定している。1991年の最初のアニメ化の際には、音楽担当としてドラゴンクエストシリーズの音楽を担当しているすぎやまこういちが参加している。

さいごに

これからもゲーム原作のアニメか行われていくだろう。ただ最近のゲームタイトルの主流は『マインクラフト』をはじめとするサンドボックスゲームであったり、『フォートナイト』のようなバトルロイヤル形式のゲームの人気が高い。これらのゲームはその性質故にアニメ化が難しいのか、まだ制作されていない。そうした点から鑑みるとアニメ化しやすいゲームを制作し、メディアミックス展開するという手法が、ゲーム原作のアニメとしては主流になると予想される。

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